【勉強会レポート】頭痛について講義を受けてきました
- 綾子 角田
- 2 日前
- 読了時間: 5分
2025/12/14
医療鍼灸連携の勉強会に参加してきました。
今回のテーマは【頭痛】です。
頭痛は、多くの人が一度は経験したことのある不快な症状のひとつです。
慢性的な頭痛に悩まされ、日常的に鎮痛薬を服用している方も少なくありません。
人によっては生活の質が大きく低下し、「薬を飲んでもすっきりしない」「このままずっと付き合っていくしかないのだろうか」と相談されることも、臨床の中でよくあります。

🩺 現代医学の視点から見た頭痛
今回の現代医学の講義は、漢方処方も行っている頭痛外来の医師によるものでした。
緊張型頭痛は、首や肩のこりが大きな原因と考えられています。
頭を左右から締めつけられるような痛みや、後頭部から首にかけて重だるさを感じるのが特徴です。
このタイプの頭痛は、入浴で温まったり、軽く体を動かすことで痛みが和らぐことがあります。
漢方の視点では、こうした状態に対して解熱鎮痛薬で「熱を下げる」ことは、体の寒熱のバランスから見ると必ずしも理にかなっていない場合がある、という説明がありました。
そのため、体を温める方向の漢方薬を用いることがあり、具体的には葛根湯や桂枝人参湯などが挙げられていました。
🧠 片頭痛について

片頭痛は発作的に強い痛みが出ることが多く、動くことで痛みが悪化するという特徴があります。
一般的には、閃輝暗点(せんきあんてん)や吐き気、光や音への過敏さを伴うことがありますが、すべての方に現れるわけではありません。
片頭痛に関しては、頭痛外来で脳血管の検査を受け、適切な薬の処方を受けることや、頻度によっては予防薬を用いることも、痛みと向き合ううえで大切だと感じました。
また、水分代謝が影響しているタイプの片頭痛では、五苓散が処方されることが多いとのことでした。
👀 発作がない時にも起こる影響
今回の講義で印象的だったのは、片頭痛を持つ方は、発作が起きていない時期にも影響を受けている可能性がある、という視点でした。
海外の神経内科のレビュー論文では、頭痛の発作がない時期にも、
認知機能(考える力や集中力)、感情、感覚の面で影響が出ることがあると整理されています。
もし日常の中で「うまくできない自分」を責めてしまうことがあるとしたら、それは性格の問題ではなく、頭痛という疾患の影響かもしれない。
そんな視点があることも、今日は知ってもらえたらと思います。
📔 頭痛ダイアリーという考え方
頭痛との付き合い方で、なるほどと思ったのが「頭痛ダイアリーをつける」という方法でした。
頭痛ダイアリーでは、
・どれくらい薬を飲んでいるか
・就寝時間や睡眠の状態
・日常生活で摂取しているもの
などを記録していきます。
そうすることで、頭痛が起こるパターンやきっかけが見えてくることがあるそうです。
この中で特に印象に残ったのが、
「患者さん自身が、自分の主治医になってもらうこと」
という言葉でした。
🧘🏻♀️ 治療と生活の関係
どんなに薬が効いたとしても、
鍼灸や漢方で脈や気血水の状態が整ってきたとしても、
日々の生活を送るのは患者さんご自身です。
日常生活の中での小さな気づきが、頭痛の頻度や強さを減らす手がかりになる。
この視点は、私自身も日々の治療の中で大切にしていきたいと感じました。
また、頭痛をお持ちで、まだ頭痛外来を受診したことがない方には、一度精密検査を受けることが勧められます。
鎮痛薬も使いすぎることで、かえって頭痛を引き起こすことが分かっています。
適切な治療計画を立てるためにも、受診を検討してみてください。

🪡 鍼灸治療の視点から
鍼灸治療では、継続して治療を行うことで、頭痛の頻度や強さが軽減するケースがあります。
現代鍼灸・中医学・経絡治療いずれにおいても、
首の後ろの硬さを整えることは共通したポイントでした。
それぞれの違いとしては、
神経の働きを重視する(現代鍼灸)
外からの影響や体内の状態を考慮したツボを使う(中医学)
体質を踏まえ、症状が出ている部位に鍼や鍉鍼を用いる(経絡治療)
といった点が挙げられます。
私は経絡治療を行っているため、頭痛に対しては、
側頭部の痛みが出ている場所を丁寧に触れ、指に感じる細かな線のある部位に鍼を行い、鍉鍼も併用しながら症状を穏やかにしていくことを基本にしています。
あわせて、首や肩、背中の硬さ、
胃腸の負担、ストレスの有無、冷えの状態、
女性の場合は月経の状態なども確認しています。
頭痛は原因をひとつに限定できるものではないため、
さまざまな視点から総合的に判断することを心がけています。
🌿 おわりに
頭痛を主訴とされる方でも、
月に1〜2回の治療を3か月ほど続けることで、
鎮痛薬を飲む頻度が減ったという声をいただくことがあります。
頭痛に悩んでいるけれど、
鎮痛薬があまり効いていない方、
あるいは薬を飲むことに抵抗がある方は、
鍼灸治療を症状緩和のひとつとして考えていただけたら嬉しいです。
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