自律神経系の鍼灸治療
このような症状はありませんか?
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外は涼しいのに、顔だけカーッと熱くなる
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手足は冷たいのに、なぜか汗が出る
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疲れているのに寝つけない、夜中に目が覚めてしまう
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胸がドキドキして落ち着かない
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天気や気圧の変化で、頭や体が重くなる
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検査では異常がないと言われたが、症状は確かにある
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不調が続き、心まで疲れてきてしまった
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「自律神経のせいかも」と言われたけれど、どうすればいいかわからない
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寝ているはずなのに、体も心も疲れが取れない
こうした症状に、東洋医学と脈診をベースにしたやさしい鍼灸でアプローチしています。
よくご相談いただくお悩み
1. のぼせ・ほてり
特徴
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頭や顔が熱く、ぼーっと火照ったような感じになる
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急にカーッと熱くなることがある(更年期やPMSなど)
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手足は冷えているのに、顔だけ赤くなることも
施術方法
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脈診と腹診から「のぼせの背景」を見極めます。
● ホルモンバランスの乱れが影響している場合
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脈診と腹診で「熱」「冷」「瘀血」のどれが影響しているかを確認します。月経に不調がある方は、下腹部や臀部の反応点に刺鍼を行い、血流や冷えの改善を図ります。
● 胃腸の不調がある場合
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胃の熱や気の逆流が「のぼせ」の一因になっているケースでは、
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痛みや不快感の種類をうかがい、触診で所見をとったうえで刺鍼を行います。
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胃腸の働きを整えることで、熱の上昇や不快感の軽減を目指します。
● ストレスや交感神経の過緊張がある場合
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脈診で自律神経のバランスを確認し、全身の緊張をゆるめるような施術を行います。
● 下半身の冷えによる「冷えのぼせ」の場合
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脈と腹部で冷えの程度を見極め、「上実下虚」の状態になっていないか確認します。
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温める経穴(足・腰など)を使い、上にこもった熱を下へと引き下げます。
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下腿の筋肉が固く、巡りを妨げている場合には、鍉鍼や運動鍼で柔軟性を引き出します。
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必要に応じて、お灸を足に使うこともあります。
→冷えの項目でもご紹介しています。
● のぼせ症状そのものへの対処
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頭・顔・首肩など、のぼせの症状が現れている部位には、熱を発散させるための刺鍼を行います。
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熱が特に強い場合は、鍉鍼で熱の拡散を促すような施術も加えます。
2. 冷え
特徴
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「冷え」と言っても、その感じ方や状態は人によって異なります。
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手足の冷えを感じる方
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冷えのぼせ(頭は熱くて足が冷える状態)
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自覚はないけれど、脈やお腹の反応に「冷え」が出ている方
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特に女性の場合、ホルモンバランスの変化(思春期・妊娠・更年期など)により冷えを感じやすくなったり、体質によっては冷えを感じにくいまま「のぼせ」や「頭痛」だけが表れるケースもあります。
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そのため、冷えの見立てには脈診・腹診・問診などを通して、体の中で何が起きているかを丁寧に読み取る必要があります。
施術方法
● 冷えのぼせ(上実下虚タイプ)
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脈診では、上半身(頭・首・肩)に「熱」、下半身に「冷え」の反応が出ます。
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このようなアンバランスな状態では、上の熱を落ち着かせ、下を温めて巡らせることが必要です。
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頭・首・肩まわり → 鍼で熱の発散
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足元(特に下腿)→ お灸や鍉鍼で冷えを緩和・筋緊張を緩める
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必要に応じて、ストレス・不安感など「心の緊張」へのアプローチも行います。
→のぼせの項目でもご紹介しています。
● 下肢の冷え(のぼせを伴わないタイプ)
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脈や腹診から「冷え」か「瘀血」かを見分けます。
冷えが主体の場合
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気血を補い、体を温める経穴(湧泉・失眠など)にお灸
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全身のエネルギー循環を整えていきます
瘀血が主体の場合
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表面的には冷えているように感じますが、内側に熱がこもっている状態
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中にたまった熱を引き出すように、鍼で調整していきます
補足
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「冷えを感じる人」と「冷えの反応がある人」は一致しないことがあります。
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冷えを訴えない人の中にも、脈・腹部などに冷えの反応が出ている場合があり、見えない冷えを見逃さないことが重要です。
3. 動悸・息苦しさ
特徴
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「心臓がドキドキする」「速く打っている気がする」「脈が飛ぶような感じがある」——ふだん意識することのない心臓の動きが気になってしまう状態を、動悸とします。
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疲れているとき、びっくりしたとき、緊張したときなどに一時的に感じることもありますが、慢性的にこのような症状があると、日常生活にも支障を感じやすくなります。
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胸のあたりが締めつけられるような感覚、息苦しさを伴うことも少なくありません。
※動悸には、自律神経の不調からくるものもあれば、心臓や肺などに関わる病気が隠れている場合もあります。とくに以下のような場合は、一度病院での検査をおすすめしています。
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安静時にも動悸が強く続く
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胸の圧迫感や痛みを伴う
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息切れ・めまい・失神のような症状がある
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階段の上り下りや軽い運動でも動悸が出る
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症状がだんだん強くなってきている
明らかな異常がない場合でも、ご自身の身体のサインに耳を傾けることはとても大切です。
検査で問題がないと分かってから施術をスタートするのも、安心して進められる一つの方法です。
施術方法
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脈診や腹診、触診で全身の緊張の度合いを確認します。
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体の強い緊張が見られる場合は、それを和らげるような経穴(ツボ)を選んで刺鍼します。
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小海・曲沢・郄門などの経穴(心包経・心経)に触れて、緊張のサインが現れていないかを確認します。
胸や背中の筋肉(とくに小腸経沿い)は、呼吸が浅くなっている方で硬さが見られることが多く、
硬さが強いところに刺鍼して緊張を解いていきます。 -
呼吸のしづらさが目立つ場合には、胸部や背部に運動鍼を用いて、呼吸の“深さ”と“通りやすさ”を整えていきます。
※ 呼吸がうまくできないことに不安が重なり、パニックのような症状につながる方もいらっしゃいます。
そのような「気分の落ち込みや不安感を伴うケース」については、こちらで詳しくご紹介しています。
4. 睡眠障害
特徴
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眠りに何らかの問題がある状態を、睡眠障害といいます。
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寝つきが悪い・途中で何度も目が覚める・朝早く目が覚める・眠っても疲れが取れない…など、
人によってさまざまな形で現れます。 -
睡眠は、心と体の疲れを回復したり、記憶を整理したり、免疫の働きを整えるためにも大切な時間です。
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眠りの質が落ちることで、日中の集中力や気分に影響が出たり、体の不調が長引くこともあります。
施術方法
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脈診で体の緊張の状態を確認します。
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交感神経が高ぶっているような状態であれば、その働きを緩やかにする経穴を使います。
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ストレスがある場合は、その影響で出てきた体の硬結やこわばりを確認し、そこに鍼をして体を緩めていきます。
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頭や顔の緊張には、鍼と鍉鍼を組み合わせて、やわらかく落ち着いた状態に整えていきます。
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特に、首の後ろが硬くなっている方が多いため、しっかりとアプローチしていきます。
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睡眠の不調だけでなく、噛みしめ・肩こり・めまい・不安感などの症状があれば、そちらもあわせて施術していきます。
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夜中にトイレに起きてしまう方は、下腹部に反応点(圧痛や硬結など)が出ていることも多く、そこに鍼をして調整を行うこともあります。
※ 病院で「睡眠障害」と診断されていなくても、「最近なんだか眠りが浅い」「寝ても疲れがとれない」など、睡眠にまつわる不調やお悩みがあればお気軽にご相談ください。
5. めまい
Iluminarでは、脈診や腹診によって自律神経 のバランスや身体の緊張を把握し、その方の状態に合わせて施術を行います。
冷えやストレス、血の滞り(瘀血)などの要因が見つかれば、それを整えることでめまいが軽減していくケースもあります。
特徴
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「ぐるぐる回る」「ふわふわする」「ふらつく」「足元が不安定」など、めまいにはさまざまなタイプがあります。原因もひとつではなく、以下のように分類されることが多いです
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耳(内耳や前庭神経)由来
強くグルグル回るようなめまい(回転性)を感じることが多く、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」や
「メニエール病」などが知られています。
→頭部・顔面部の鍼灸治療ー3.耳鳴り・めまい
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自律神経の乱れ
ふわふわと揺れる感じ、頭がボーッとする感じなど、天候やストレスの影響も受けやすく、更年期や起立性調節障害などで見られるタイプです。
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循環器系や貧血
立ちくらみ、目の前が暗くなる、失神しそうになるといった症状が出やすく、血流の低下や貧血などが関係している場合もあります。
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精神的ストレスや不安
パニック発作のように呼吸が浅くなったり、地に足がつかない感覚になることもあります。
施術方法
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耳に由来するめまいの場合、体の深い部分――特に「腎」の働きとの関係を脈診で確認します。深部にまで影響が及んでいるようであれば、耳鼻科での検査・治療と併用しながら、鍼灸を進めていくのがおすすめです。耳のまわりの筋肉が硬くなっている場合には、その緊張を丁寧にゆるめていきます。
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貧血や低血圧のような“気血不足”の兆候がある場合には、気や血を補うツボを使って、体の内側から整えていきます。
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胃腸の働きが弱っている方には、消化器系を補う施術を加えることで、栄養の吸収や回復力を高めていきます。
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自律神経の乱れが疑われる場合は、交感神経と副交感神経のバランスを整えるように、その方に合わせて施術を組み立てていきます。
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めまいによって後頭部や首〜肩の筋肉が緊張していることも多いため、後頭部や僧帽筋のコリに対しては、鍼をしっかりと届かせて緩めていきます。
※ めまいがあると不安感や吐き気、集中力の低下を伴うこともあります。
そのような複数の不調が重なっている方にも対応しています。
6.気分の落ち込み
特徴
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気分が落ち込む、やる気が出ない、体が動かない、頭の中で考えがまとまらない、と言った状態です
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鍼灸治療では以下のようなケースに対してアプローチをしています。
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婦人科系の影響(月経前・更年期などのホルモンバランス)
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自律神経のアンバランス
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慢性的な体の疲労(CFS・慢性疲労症候群など)
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パニック発作や過呼吸を伴う不安感
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心療内科で薬を処方されているが、もう少し別の方法も試したい方
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一方で、思考・行動・人格そのものが崩れてしまうような精神症状がある場合は、鍼灸だけでの対応は難しく、医療機関での治療が優先されます。
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施術の際にこのような部分も丁寧に確認し、安心して受けていただける範囲で対応しています。
施術方法
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脈診で自律神経の緊張状態を確認します。アンバランスがどれくらい起きているか分かります。
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緊張が強ければ、それをゆるめるような、だるさが強ければ補うような経穴を中心に組み立てていきます。緊張とだるさの両方が強い場合もあります。
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ホルモンバランスの影響が関係している場合は、PMSやPMDDといった月経周期による気分の変化や更年期症状に関係する部位にアプローチします。気血津液のバランスをよく見ていきます。
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胸の奥や背中、肩甲骨周囲の硬さに対しても鍼を行い、呼吸の浅さやモヤモヤとした不快感をゆるめていきます。
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パニック発作のある方は、体の緊張の状態を確認して呼吸や動悸にアプローチした治療と並行しながら進めていきます。
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頭部の緊張が強い場合は鍉鍼(ていしん)や軽めの刺鍼を使って、脳疲労や考えすぎによる緊張を鎮めていきます。
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不安が強い場合は、胸部と背部に現れる硬結に対して鍼を入れ、背中には直接灸(もぐさを使ったお灸)を使っていきます。
🕊 自律神経にまつわる不調でお悩みの方へ
自律神経は、呼吸や体温、内臓の働きなど、私たちの体を静かに調整してくれている大切な神経です。
でもその働きが乱れてしまうと、思ってもいなかったような不調が体のあちこちに現れてくることがあります。
「病院では“自律神経の乱れですね”と言われたけど、特に治療はなかった」
「どうしてこんな症状が出るのか、説明もなくて不安のまま」
そんな経験をされている方も、少なくありません。
自律神経のバランスは、一度崩れると自然に戻すのが難しいこともあります。
不安や疲れ、眠れなさ、気分の落ち込みなどが重なると、ますます自分の体が分からなくなるような感覚になるかもしれません。
鍼灸治療は、そうした自律神経の働きにやさしくアプローチすることが得意です。
近年では、心と体、どちらの不調にも効果が期待されるケアとして注目されています。
「これって鍼灸でどうにかなるのかな?」
「こんな状態でも受けていいのかな?」
そんな風に思ったときは、どうぞ気軽にご相談ください。
あなたの声に、丁寧に耳を傾けます。
